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2007.03.07 (Wed)

マリー・アントワネット

「フロイライン、フロイライン!」
ザルツブルグで学生だったころのこと。
レッスンに遅れそうになって、走っていたら、
50代の紳士に呼び止められました。
立ち止まって振り返ると、その紳士はにこやか近づいてきて
「レディは走るものではありません。
 走らないですむように、よく考えて生活しなくてはいけませんよ」

と、言うのです。
その時、私は急いでいましたから、
「ハイ、解かりました」と言って、
また走り出したわけですが、この言葉がずっと私の心に引っかかっていました。

性格なのか、どうしても、心と感情で動いてしまうことが多く、
よく考えないで過ごしてしまうと、時間がなくなってしまうことが
多々あります。
いつも、あの紳士の顔を思い出しては「私はレディではないんだわ」と
いじけてしまうのですが。

最近、1月に発売されたツヴァイクの「マリーアントワネット」を読んでいて、また、あの紳士の顔が思い出されました。

マリー・アントワネット 上 (1) マリー・アントワネット 上 (1)
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マリー・アントワネット 下 (3) マリー・アントワネット 下 (3)
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この中で、フランスに嫁いだわが娘アントワネットに
マリアテレジアが何度も手紙で注意します。
「よく考えて行動しなさい。思慮深くなりなさい」

     若いマリーアントワネットにとって、
     この世で最重要事項は、自分の楽しみのみ。
     徹底的に考えたり、筋道立てて思考しなければならないと
     すぐに退屈してしまう。
      (上巻、第四章より) 


そんな彼女が自分自身に気が付くのは革命が始まってから。

     「不幸になってはじめて
      自分が何者かほんとうにわかるのです」
     母親や友人といった忠告者たちは何十年かかっても
     この強情者に影響を与えられなかった。
     耳を貸したがらないものには早すぎた。
     マリーアントワネットにとって、
     苦悩こそが最初の本当の教師であり、
     すなおに教えを受けた唯一の教師であった。
      (下巻第二十四章)


人間って、追い詰められて初めて自分と向き合い、
考えるものなのかもしれません。
この本を読んでいて、マリアテレジアの手紙が
なんだか自分が怒られているような気がして、考え込んでしまいました。
あのザルツブルグの紳士が言ってくれたこと、
20年近くたって、理解できるようになったのは、
今、私が時々、自分自身を見つめられる機会があるお陰かもしれません。

でも、やはり、遅れそうになって走ってる あるまんど ですが・・・
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