2009年01月 / 12月≪ 12345678910111213141516171819202122232425262728293031≫02月

2007.03.07 (Wed)

マリー・アントワネット

「フロイライン、フロイライン!」
ザルツブルグで学生だったころのこと。
レッスンに遅れそうになって、走っていたら、
50代の紳士に呼び止められました。
立ち止まって振り返ると、その紳士はにこやか近づいてきて
「レディは走るものではありません。
 走らないですむように、よく考えて生活しなくてはいけませんよ」

と、言うのです。
その時、私は急いでいましたから、
「ハイ、解かりました」と言って、
また走り出したわけですが、この言葉がずっと私の心に引っかかっていました。

性格なのか、どうしても、心と感情で動いてしまうことが多く、
よく考えないで過ごしてしまうと、時間がなくなってしまうことが
多々あります。
いつも、あの紳士の顔を思い出しては「私はレディではないんだわ」と
いじけてしまうのですが。

最近、1月に発売されたツヴァイクの「マリーアントワネット」を読んでいて、また、あの紳士の顔が思い出されました。

マリー・アントワネット 上 (1) マリー・アントワネット 上 (1)
シュテファン・ツヴァイク (2007/01)
角川書店
この商品の詳細を見る

マリー・アントワネット 下 (3) マリー・アントワネット 下 (3)
シュテファン・ツヴァイク (2007/01)
角川書店
この商品の詳細を見る


この中で、フランスに嫁いだわが娘アントワネットに
マリアテレジアが何度も手紙で注意します。
「よく考えて行動しなさい。思慮深くなりなさい」

     若いマリーアントワネットにとって、
     この世で最重要事項は、自分の楽しみのみ。
     徹底的に考えたり、筋道立てて思考しなければならないと
     すぐに退屈してしまう。
      (上巻、第四章より) 


そんな彼女が自分自身に気が付くのは革命が始まってから。

     「不幸になってはじめて
      自分が何者かほんとうにわかるのです」
     母親や友人といった忠告者たちは何十年かかっても
     この強情者に影響を与えられなかった。
     耳を貸したがらないものには早すぎた。
     マリーアントワネットにとって、
     苦悩こそが最初の本当の教師であり、
     すなおに教えを受けた唯一の教師であった。
      (下巻第二十四章)


人間って、追い詰められて初めて自分と向き合い、
考えるものなのかもしれません。
この本を読んでいて、マリアテレジアの手紙が
なんだか自分が怒られているような気がして、考え込んでしまいました。
あのザルツブルグの紳士が言ってくれたこと、
20年近くたって、理解できるようになったのは、
今、私が時々、自分自身を見つめられる機会があるお陰かもしれません。

でも、やはり、遅れそうになって走ってる あるまんど ですが・・・
EDIT  |  14:55  |  文学  |  TB(0)  |  CM(4)  |  Top↑

*Comment

あるまんどさん、こんにちは。
素敵な思い出があるのですね。
羨ましい!
ザルツブルグの紳士が、若いあるまんどさんに素敵な種を蒔いて、あるまんどさんはその種を大事に大事に持ち続けていたのですね。
♪芽〜が〜出〜て〜ふくらんで・・・♪
これからが楽しみv-353
tennnenn |  2007.03.09(金) 13:08 |  URL |  【コメント編集】

あるまんどさん、ひさしぶり!
すてきな一場面ですね〜。ヨーロッパの人たちは、教育がうまいですよね。私もこういうおしえをたくさんもらいました。それはそれは大満足でした。だって、「人間」という部分に関わることですもん。若い頃おしえてもらったことを大人になってからひもとくのも、それもまた財産ですね。そうしようとするのは、やはりあるまんどさんがピアノが好きだからですよね、すごい情熱!

アントワネットの本、良さそうですね。よく考えて行動する。そのためにまずは余裕を作り出し、そして熟考する・・・。これができるようになれば私たちもヨーロッパ貴族の仲間入り!?

あむ |  2007.03.09(金) 14:49 |  URL |  【コメント編集】

tennnennさん、
レスが遅くなってごめんなさい。
種はまかれても、環境が整わないと芽が出ないようですね(^^;
人間は運命に追い詰められたからって、
自分自身を見つめるとは限らないように思います。
中には、運命を呪い、人を恨み、疑い、そうやって、時間を使ってしまう人もいると思うの。

そう考えると、自分の生と子どもと王冠を守るために、頑張ったアントワネットは、すごいなって。
ベートーベンも、そういう一人だったのではないかしら?
あるまんど |  2007.03.13(火) 08:39 |  URL |  【コメント編集】

あむさん、
お返事が遅くなって本当にごめんなさい。

ドイツ系の人間は、無駄な動きをしないように、
よく考えて動いているように感じることがあります。それでいて、日本人のようにせかせかしていないのは不思議でした。
ゆったりとした時間の流れが在りました。

あの紳士はその後、欧日協会の方とわかり、
後日、何度かお話したことがあります。
いつも、色々なメッセージをくれました。
今は、もう10年以上前に亡くなり、今は天国で見守ってくれているかな。
「まだ、走ってる・・・」と思われているような気がします。
あるまんど |  2007.03.13(火) 08:46 |  URL |  【コメント編集】

コメントを投稿する

URL
COMMENT
PASS  編集・削除するのに必要
SECRET  管理者だけにコメントを表示
 

*Trackback

この記事のトラックバックURL

この記事へのトラックバック

 | BLOGTOP |